IPv6はなぜ速い?IPv4との違いやIPv4 over IPv6の意味とは?

どこの光回線サービスを見ても、「IPv6対応で快適!」といった言葉を見かけますよね。
ただ、一般の人からしてみれば、「そもそもIPv4とかIPv6って何?」と思われるかと思います。
ですので当ページでは、
- 「IPv4とIPv6って何が違う?」
- 「IPv6は、なぜ速いと言われるの?」
- 「本当にIPv6に対応させないとマズイ?」
- 「IPv4 over IPv6ってなに?」
など、IPv6でよくある疑問を全て解決します。
読み終わるころには、IPv4とIPv6の違いがわかるのはもちろん、どういう仕組みや理由でIPv6が速いと言われているのか?すべて分かるようになるでしょう。
また最後に解説する、「IPv4 over IPv6」については人気光回線のほぼ全てが導入している技術なので必ず確認しておきましょう。
はじめに:IPv4とIPv6の関係性を知っておこう。
まず初めに知っておきたいのは、インターネットが登場した時からずっと、そして今もなお利用され続けているのはIPv4です。
私たちはずっとIPv4でインターネットを利用してきました。
IPv4とは、「インターネット プロトコル バージョン4」を略したもので、日本語に訳すと、「インターネットの決まり事 第4弾」です。
つまり、IPv4はインターネット通信におけるルールの名前だと考えてください。
一方で、IPv6は後に登場しました。
IPv6の読み方は、「インターネット プロトコル バージョン 6」で、IPv4より進化したルールです。
- IPv4とIPv6はインターネット通信における「ルールの名前」。
- IPv4は昔からずっと、今もなお使われるルール。
- IPv6は、新しいルール。
IPv4とIPv6って何が違うの?押さえるべき2つのポイントを解説。
私たちが押さえるべきIPv4とIPv6の違いを表にまとめました。
IPアドレスの数 | 接続方式 | |
---|---|---|
IPv4 | 少ない 約43億個 |
PPPoE(トンネル方式) |
IPv6 | 圧倒的に多い 340澗(かん)個 |
|
簡潔にお伝えすると、IPv6は従来のIPv4と比べて以下のように違います。
- IPv6は、IPv4には無いIPoEと呼ばれる接続方式に対応できるため、混雑を回避して快適な通信が可能。
- IPv6は、IPv4よりもIPアドレスの数が多いので、これから主流になる。
ちなみに、よくIPv6が速いと言われる理由は「1.IPoEと呼ばれる接続方式に対応できる」ということが関係しています。
「2.IPアドレスの数」は速度に関係ありませんが、IPv6が誕生した根本的な理由であり、これからは常識になる知識です。
みなさんが、IPv6のことでグチャグチャにならないためにも両方とも解説していきますね。
1.IPv6は「IPoE方式」が使えて混雑を回避できる。
私たちがインターネットに接続するときは2種類の接続方式いずれかを使っています。
- PPPoE方式(別名:トンネル方式)
- IPoE方式(別名:ネイティブ方式)
このうち、PPPoE方式は従来型の接続方式であり、混雑しやすい場所を通ってインターネットに接続するといった特徴があります。

PPPoE方式では、NTTネットワーク上にある混雑しやすい網終端装置を経由する必要がある
一方で、IPoE方式は最新の接続方式であり、混雑しにくい場所を通って(自然な方法で)インターネットに接続する特徴を持ちます。

IPoE方式では混雑しにくいゲートウェイルータを通過する
そこで、IPv4とIPv6がどちらの接続方式に対応しているかを表す以下の表をご覧ください。
PPPoE方式 (トンネル方式) |
IPoE方式 (トンネル方式) |
|
---|---|---|
IPv4 | ![]() |
![]() |
IPv6 | ![]() |
![]() |
IPv4では従来型のPPPoE方式しか使えません。(混雑しやすい。)
一方で、IPv6では最新のIPoE方式が使えます。(混雑を回避。)
このことから、IPv4と比べてIPv6は快適な通信が可能になるというわけです。
IPv6では、2つの接続方式(PPPoEとIPoE)どちらにも対応しています。
しかし、IPv6でもPPPoE方式で接続すると、IPv4と同じく混雑しやすいです。
ただ心配することはありません。今主流のIPv6対応の光回線サービスのほとんどがIPoE方式で使えるようになっています。
2.IPv6はIPv4よりもIPアドレスの数が多い。
インターネット上には数多くのコンピュータ(スマホ・タブレット・パソコンなど)が繋がっています。
ですので、みなさんはインターネットを通じて友人や家族にLINE(メッセージ)を送ることができますよね。
しかし、あなたが送ったメッセージはどのようにして確実に相手まで届くようになっているのでしょうか?
それは、インターネットに繋がっている1つ1つの機器にIPアドレスという番号が割り当てられているからです。

インターネットの世界では、宛先や送信元の表現方法として、IPアドレスを利用するのです。
私たちの世界でいう住所と同じものですね。
しかし、このIPアドレスの数が、IPv4とIPv6で圧倒的に違います。
IPv4アドレスは数が少ない。(住所の数が少ない。)
IPv4のインターネットでは、IPアドレスの数(住所の数)は約43憶個と決まっています。
一見多く見えるかもしれませんが、2019年で世界人口は77億人を超えている事実があります。(参考:国連広報センター)
明らかにIPv4で割り振れるIPアドレス(IPv4アドレス)は少ないのです。
※2011年、新規に割り当てできるIPv4アドレスは枯渇しています。
そこで何が問題なのかというと、IPアドレスは住所と同じく重複できないため、(極論を言うと)無くなってしまうと新たにネット契約をすることができなくなってしまうのです…。
これは、非常に大きな問題になっています(IPアドレス枯渇問題)。
IPv6アドレスは数が圧倒的に多い。(住所の数が多い。)
IPv4アドレスの枯渇問題に対処するべく、IPv6が登場しました。
※実はIPv6は最近登場したものではなく1995年に登場しています。日本の光回線サービスの多くが0円でも対応できるようにし始めたのが最近です。
そして、IPv6のインターネットでは、IPアドレスの数(住所の数)は340澗(かん)個もあります。
340澗個とは、340兆の1兆倍の1兆倍という数なので、ほぼ無限だと考えて頂いて大丈夫です。
そのため、IPv6ならIPアドレスがこれから無くなることはありません。
これらのことから、今後はIPv6への対応が主流になってきます。
基本的には関係ありません。
しかし、次に解説するIPv6とIPv4の違い(接続方式)が速度の向上に関係してきます。
- IPv4と比べてIPv6(IPoE方式)は混雑を回避できる。
- IPv4と比べてIPv6はIPアドレスが圧倒的に多くずっと使えて安心。
【重要】IPv4 over IPv6とは? IPv6未対応のサイトでも快適に利用できる理由。
基本的に今主流の光回線サービス(ドコモ光やソフトバンク光など…)が対応しているのは、「IPv4 over IPv6」と呼ばれる技術です。
そして、IPv4 over IPv6とは、「IPv6(IPoE)に乗っかってIPv4接続もできるようにする」という意味です。
つまり、IPv4接続をする場合でも、IPv6と同じネットワーク経路を通ることができるようになるため、混雑しやすい網終端装置を回避することができるというわけです。
意味が分からない人もいると思うので、もっと分かりやすく1から解説します。
実は、光回線をIPv6に対応させても、IPv4も絶対に使うことになる。
自分たちがIPv6(IPoE方式)に対応していたとしても、利用するサービスやWebサイトも同じくIPv6に対応していなければ、IPv6で接続することはできません。
Webサイト・SNS・動画サイトもIPv6に対応しているか・していないか、決まっているからです。
つまり、みなさんがIPv6に対応していても、IPv4に対応しているWebサイトを閲覧するとなればIPv4接続を行う必要が出てきます。(⇒ 混雑しやすい)
- 検索エンジン:Yahoo、Bing
- 動画:dTV、Hulu
- SNS:Twitter、LINE
- ゲーム機:PS4
- ※その他、Amazonなどのショッピングサイトや公式サイトの大半はIPv6に対応していないのが現状。
また、日本ではIPv4に対応するサイトの方が多いことから、せっかく光回線をIPv6(IPoE方式)に対応させても混雑を回避できずに本末転倒になってしまいます。
しかし!「IPv4 over IPv6」という技術によってIPv4対応サイトでも混雑が回避できるように。
さきほど、IPv4(PPPoE方式)でインターネットに接続すると混雑しやすくなると説明しましたね。
しかし、「IPv4 over IPv6」という技術を使うことで、IPv6に乗っかってIPv4接続ができるようになります。
つまり、IPv4接続をする場合でも、IPv6(IPoE)と同じ混雑しにくいネットワーク経路を通ることができるようになるのです。
ですので、契約する光回線サービスにて「IPv4 over IPv6」が採用されていれば、利用するサービスがIPv4対応でもIPv6対応でも関係なく快適にインターネットを利用することができるようになります。